【弁護士解説】取締役の会社への責任 責任を軽減する方法は?

取締役は任務懈怠をすると会社に損害賠償責任を負う

取締役は法令を守ることや会社に損害を与えないようにするという任務を負っています。この任務を懈怠、すなわち取締役としての任務を怠り会社に損害が発生した場合には会社にその損害を賠償する責任を負ってしまいます。

会社法に取締役の責任軽減の方法が3種類

責任を負うとしても会社法には責任を軽減する方法が3種類規定されています(会社法425条~427条)。

  • 株主総会の決議による軽減
  • 取締役の同意による軽減
  • 責任軽減契約による軽減

どの種類を使うにしても任務懈怠について善意かつ無重過失でなければなりません。ここでいう善意とは普段の意味とは異なり、あることを知らないことを指します。つまり取締役が任務を怠っていることについて知らず、知らないことが重大な不注意によるものではないときに限って責任を軽減することができます。

また、取締役が利益相反取引を行って会社に損害を与えた場合にも3種類全ての手続が使えないので注意しましょう。

株主総会の特別決議で取締役の責任を軽減

株主総会において責任の原因となった事実、賠償額、責任を免除する理由、免除額を開示した上で、株主の3分の2以上の賛成が得られた場合に責任を軽減することができます。

実際には3分の2以上の賛成を得られるかが問題となってきます。

もっとも取締役の全責任を免除できるわけではなく、一定程度の責任は免除できません。代表取締役では年間の報酬に当たる額の6倍、業務執行取締役では4倍、取締役では2倍の額については免除することができません。

取締役の同意・取締役会決議で取締役の責任を軽減

この軽減を利用できるのは委員会設置会社という特殊な会社形態を採用している会社以外では、監査役を置いており、取締役が2人以上いる会社に限られます。

この場合、取締役の同意や取締役会の決議で取締役の責任を軽減できる旨を定款に定めておかなければなりません。

また、免除した場合には公告や株主への通知といった手続を踏まなければなりません。

事前に責任限定契約を結んで取締役の責任を軽減

取締役と会社の間で、取締役の責任を限定する契約を結んでおくことで取締役がそれ以上の損害賠償責任を負わないというものです。

責任限定契約が有効になるためには、定款にあらかじめ定め、問題となった取締役の業務執行の前に会社と取締役の間で契約が結ばれていなければいけません。

この契約を結べるのは業務執行取締役でない取締役に限られています。また、免除後は株主への通知といった手続も必要になります。

取締役の責任を軽減するためにすべき手続は多い

取締役の責任の軽減という会社にとっては不利になりうることをするためには厳格な手続が要求されています。

一見有効に責任を軽減できたと思っても、手続が抜けていたために責任を負うことになりかねません。取締役にとっても重要な責任の軽減という制度を確実に使うために、会社法の専門家である弁護士に相談することをおすすめします。

この記事を書いた人

ネクスパート法律事務所