株主総会決議の不存在、無効、取り消しはいつ認められるのか。その方法とは?

株主総会に問題があれば裁判で是正できる

株主総会は、会社の意思決定機関として重要な機関です。

取締役などの役員選任、配当の決定、新株発行など、会社の業務を行う上で重要な事項については、会社法で株主総会の決議が必要となっています。このような株主総会ですが、開催方法や決議の内容に問題があった場合には是正しなければなりません。

問題がある=瑕疵といいますが、瑕疵があるときに是正する手段として、株主総会決議不存在確認の訴え、株主総会決議無効確認の訴え、株主総会決議取消しの訴えが用意されています。

瑕疵の内容、程度によって争う手段が異なり、争える期間も異なってくるのでそれぞれ確認しましょう。

株主総会決議不存在確認の訴え 瑕疵が著しい場合にいつでも提訴できる

株主総会が不存在とはどういうことでしょうか。実際に株主総会が開催されていないにもかかわらず、開催されて決議された旨の議事録が作成されたケースは、一番想像が付きやすいと思います。

これだけでなく株主総会決議をする上で、手続上瑕疵が著しい場合も株主総会決議が不存在となります。

株主総会を開催するには、会社法により様々な手続きをする必要がありますが、その手続きのミスがひどすぎて株主総会決議がもはや無かったといえるような場合をいいます。具体的には、

  • 代表取締役が半分近くの議決権を持つ株主に招集通知をせず、自らの子どもにだけ口頭で招集し決議をしたケース(最判昭和33年10月3日)
  • 株主が2名で、持株比率が各2分の1の会社で、そのうちの1名への招集通知をせずに決議をしたケース(大阪高判平成2年7月19日)
  • 議長でない者の下で採決された決議がされたケース(東京地判平成23年1月26日)

などがあります。株主総会決議不存在の訴えは、期間制限がなくいつでも提訴することができます。

株主総会決議無効の訴え 決議内容が法令に違反する場合にいつでも提訴できる

株主総会における瑕疵は大きく2種類に分類できます。決議の内容に関するものと手続きに関するものです。

さらに、瑕疵の中でも、法令に違反するものと定款に違反するものと2種類あります。したがって、計4パターンが考えられます。

このうち株主総会決議無効の訴えの対象となるのは、決議の内容の法令違反の1パターンに限られます。

会社法では、株主が賛成したら何でもしていいというわけではなく、様々な規制が設けられています。このような法令に違反した場合に、株主総会決議が無効となります。具体的には、

  • 株主総会で決議できない事項についてなされた決議(会社法295条2項違反)
  • 同じ株を持っている株主を平等に扱わない決議(会社法109条1項違反)
  • 配当できないにもかかわらず剰余金を配当するとしてた決議(会社法461条違反)などがあります。

株主総会決議無効の訴えも、期間制限がなくいつでも提訴することができます。また、無効を主張するには必ずしも株主総会決議無効の訴えを提起する必要はなく、他の訴訟の中で決議が無効だと主張することも可能です。

株主総会決議取消しの訴え 取消し事由は広いが決議から3ヶ月以内に提訴する必要

株主総会決議取消しの訴えにおいては

  • 株主総会の招集手続、決議方法の違反
  • 決議内容の「定款」違反
  • 特別利害関係人による議決権行使で著しく不当な決議がなされた

3つの場合に決議を取消すことができます。

株主総会の招集手続、決議方法の違反の具体例には、

  • 招集通知の期限を守らなかった
  • 株主名簿の書換を不当に拒絶した
  • 招集通知に記載の無い事項について決議がなされた

が挙げられます。

次に、特別利害関係人とは、決議によって他の株主とは異なる特別な利益を受けたり、義務が免除されたりする人のことをいいます。

自分だけが利益を得る人が株主総会で議決権を行使したために、著しく不当なことが決議されたときには、決議の取消しが認められます。

取消しの訴えは、不存在、無効確認の訴えと異なり、訴え提起できる人、期間に制限があります。

取消訴訟については、株主、取締役、監査役などしか訴え提起できないとされています。期限については、株主総会の決議の日から3ヶ月以内に提起しなければなりません。

株主総会に問題があると思ったら早く弁護士に相談を

実際には、株主総会決議取消しの訴えが利用されることが多いです。決議取消しで争えない場合は不存在確認で争わざるを得なくなりますが、不存在と認められるケースは極めて稀です。

そうとなると、株主総会決議の日から3ヶ月以内という期限を守らなければ、自らの利益を守れなくなる可能性が高いです。株主総会決議に疑問を持ったら、いち早く弁護士へ相談しましょう。

この記事を書いた人

ネクスパート法律事務所