種類株式を徹底活用! 創業者の会社支配権を守る方法

支配権:持つ株式によって会社への影響力が変わる

株を多く持っていれば会社の方針について、大きな影響力を持つことができるというのは想像がつくと思います。

具体的には、過半数の株を持っていれば、株主総会で経営に関する事項を、単独で自らの意向に従った決定をすることができます。

取締役の選任・解任や株の配当金額の決定などです。過半数を持つだけでも会社に強い影響力を持っているということができます。

しかし、会社にとって重要とされる事項については、株主総会でも過半数では足りず3分の2の賛成が必要となります。

定款を変更したり、事業譲渡をしたりする場合など、会社の根幹に関わってくる事項がこれにあたります。

M&Aを実行する場合にも、3分の2の賛成が必要となってくる場合が多々あります。

3分の2の株を持てば、会社に関する事項をほぼ自らだけで決定することができ、支配しているといえる状況です。

常に多くの株式を持つことができれば問題ありませんが、資金調達をするなどの目的で創業者以外に対して株を発行することがあるかと思います。

そうなれば、創業者の持つ株式比率が下がり、会社に対する会社支配権を維持できなくなる可能性があります。

このような場合には、種類株式というものを活用することで、支配権を維持することができるようになるかもしれません。

種類株式 2種類以上の株式を発行すること

株というと市場で売買されるような株が想像しやすく、何個も種類があるという感覚がないかと思います。

実は、会社法では内容の異なる株を発行することができ、このような株のことを種類株式といいます。

一般的に、株を持っていると、株主総会での議決権、配当を受ける権利を持つことになります。

一部の株式について、この権利に上乗せしたものを与えたり、逆に一部の権利を削ったりすることができます。このようにして普通の株とは異なる株を発行することができます。

会社支配に興味の無い株主には議決権制限株式・剰余金優先株式の種類株式を発行

配当に興味があるが、会社の方針を決めることには興味を持たないという者に対しては、議決権制限株式・剰余金優先株式を利用することで、支配権を維持することができます。

この株は、文字通り株主総会で議決権を行使できない株で、その代わりに剰余金、一般的に言われる配当について、他の株式より優先して得ることができる株です。

議決権を行使できない株は、株主総会において過半数や3分の2の母数には数えられないため、このような株を発行しても創業者の支配権は揺らぎません。

資金調達をしたいが、支配権を維持したいという場合に合う方法です。ただ、お金を出す以上、経営に関与したいという株主もいるので、お金が十分に集まらないという可能性もあります。

創業者に拒否権を与える拒否権付株式(黄金株)の種類株式を発行

他には、創業者に拒否権付株式という種類株式を発行するというものがあります。株主総会で決定された一部の事項について、さらに拒否権付株式を持つ株主だけでの総会(種類株主総会)での賛成が必要というものです。

分かりやすい支配権の維持の手段で、いくら他の株主が賛成したとしても、創業者が賛成しない限りは議決が認められないというものです。

種類株主総会が必要となる一部の事項には、取締役の選任・解任やM&Aについて定めることが可能です。

拒否権付株式は与える人を間違えると濫用されて、会社のためになるにもかかわらず否決されて会社が行き詰ってしまうということが考えられるため注意が必要です。

種類株式の発行には定款変更・登記が必要

新たに種類株式を設ける場合、定款を変更する必要があります。定款変更には議決権を行使できる株主の議決権の過半数を持つ株主が出席し、出席した株主の議決権の3分の2の賛成が必要になるのが一般的です。

過半数ではなく3分の2であることから、支配権を維持しようとするためには、定款変更時点で多くの賛同者を得ておく必要があります。

また、種類株式を発行できるよう定款変更が決議された後には、種類株式の内容と、その種類株式の発行可能株式総数を登記しなければなりません。拒否権付株式の場合は、拒否権の対象となる事項についても登記が必要になります。

様々な選択肢から選ぶことが必要

資金調達を目的とするのであれば、株式を発行する必要がそもそもあるのか、発行する必要があるとしてもどの種類株式を発行するのが適切か、そのために必要な定款変更をすることが現実的か、といった多角的な視点が必要になってきます。

支配権維持だけが目的であっても、法律上許されるのか、相続などを見越して戦略的に種類株式の発行が利用できるかなどといった検討が必要になってきます。

種類株式は多様で、会社法の規定も複雑になっています。種類株式の内容にも、その後の手続きにも通じた弁護士に相談されることをおすすめします。

この記事を書いた人

ネクスパート法律事務所